隣人との付き合い方
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## 『隣人との付き合い方』漫画の感想|最初は「隣人ガチャ失敗」かと思った
『隣人との付き合い方』を読んで最初に思ったのは、
「これ、隣の部屋に住む人ってめちゃくちゃ重要だな……」
という、今さらすぎる感想でした。
家賃、駅からの距離、風呂とトイレが別かどうか。部屋探しではいろいろチェックしますが、隣人の人柄だけは内見で確認できません。
不動産屋さんに、
「ちなみに隣の人、どんな性格ですか?」
と聞いても、たぶん困った顔をされるだけでしょう。
そんな“壁一枚向こうに誰がいるかわからない怖さ”を入り口にしつつ、人と人との距離が少しずつ変化していくのが『隣人との付き合い方』という漫画の面白いところでした。
今回は『隣人との付き合い方 漫画 感想』として、読んで感じた魅力を語っていきます。
## 智樹と詩織の関係が妙にリアル
主人公の智樹は、自宅で仕事をするフリーランスの翻訳家。
静かな環境で仕事をしたい智樹にとって、隣室に住む詩織の生活音はかなり気になる存在です。
一方の詩織はイベント会社勤務で、仕事の時間も不規則。
帰宅が深夜になったり、朝早かったりと、生活リズムが智樹とは合いません。
つまりこの2人、最初から相性が悪い。
というより、
「生活時間が違う隣人同士あるある」
なんですよね。
個人的にはここがかなり好きでした。
どちらか一方を完全な悪者にして、
「隣人がとんでもないモンスターでした!」
という話にする方が分かりやすいんですが、『隣人との付き合い方』はそう単純ではありません。
智樹には智樹の事情があり、詩織には詩織の事情がある。
こちらから見れば騒音でも、向こうからすれば普通に生活しているだけ。
人間関係って、だいたいこうなんですよね。
自分の中では100対0で相手が悪いと思っていたのに、話を聞いてみたら「あれ、60対40くらいか?」となるやつです。
## 壁一枚なのに心の距離は100キロ
『隣人との付き合い方』の序盤では、智樹と詩織は物理的にはめちゃくちゃ近い場所にいます。
部屋は隣。
壁一枚。
数メートルしか離れていません。
なのに心の距離は遠い。
この感じが妙に面白いんですよ。
マンションやアパートに住んでいると、隣の人が咳をした音まで聞こえることがあるのに、名前すら知らないなんて普通にあります。
考えてみたら不思議ですよね。
知らない人と壁一枚隔てて毎日寝ているわけです。
冷静に考えると、なかなか大胆なシステムです、集合住宅。
そんな関係だった智樹と詩織が、ある出来事をきっかけに少しずつ相手を知っていく。
ここから『隣人との付き合い方』は、一気に人間ドラマとして面白くなっていきます。
## 詩織の弱さが見えたところで印象が変わる
個人的に印象に残ったのは、強そうに見えていた詩織の弱い部分が見えてくるところでした。
仕事に追われ、人間関係にも疲れ、それでも普通の顔をして生活する。
こういう人、実際かなり多いと思います。
外では元気にしているけど、玄関を閉めた瞬間、
「もう今日は何もしたくねえ……」
となる。
私も疲れた日は冷蔵庫を開けて、そのまま数秒間ぼーっとすることがあります。
何を探していたのかすら分からない。
冷蔵庫側も困っているでしょう。
そんな余裕のない状態の詩織に対して、智樹が少しずつ態度を変えていく。
ここが『隣人との付き合い方』の大きな見どころだと感じました。
相手の事情を知るだけで、同じ音でも感じ方が変わる。
昨日まで「うるさい!」と思っていた物音が、
「今日も遅かったんだな」
に変わる。
人間の感情って不思議です。
## 非常階段で距離が縮まっていく感じがいい
2人の関係が変わったあと、非常階段などで会話をするようになっていく流れも印象的でした。
派手なデートスポットではありません。
夜景の見える高級レストランでもありません。
非常階段です。
色気があるのかないのか分からない場所なのに、そこが逆にいい。
缶コーヒーを飲みながら少し話す。
仕事のことを聞いたり、何でもない話をしたりする。
こういう小さな積み重ねによって、他人だった2人の距離が縮まっていきます。
個人的には、いきなり大恋愛になる作品よりも、こういうタイプの方が好きですね。
昨日より今日。
今日より明日。
会話が一言ずつ増えていく。
「あ、この2人ちょっと仲良くなったな」
と読者側がニヤニヤできる。
派手さはないのに、妙に続きを読ませる力があります。
## スープを届ける距離感が絶妙
智樹が詩織のことを気遣ったり、詩織がお礼を返したりするようになる展開も良かったです。
特にいいのが、距離の詰め方が急すぎないところ。
人間関係で一番怖いのは、
「ちょっと親切にしたら急に親友みたいになってきた人」
です。
怖い怖い。
昨日初めて話したのに、今日もう人生相談してくるな。
その点、『隣人との付き合い方』では、相手の生活を邪魔しない程度の優しさが描かれています。
ドアの前にちょっとしたものを置いたり、お礼として甘いものを渡したり。
この、
「近づきたいけど入り込みすぎない」
という感覚が作品タイトルそのものなんですよね。
## 『隣人との付き合い方』は人間関係の漫画でもある
『隣人との付き合い方 漫画 感想』をまとめるなら、この作品は単なる隣人同士の物語ではなく、
「相手を知ると世界の見え方が少し変わる」
という漫画だと思いました。
人は知らない相手に対して、勝手なイメージを作ってしまいます。
無愛想な人。
うるさい人。
冷たい人。
変な人。
ところが実際に話してみると、
「思ってた人と違った」
ということもある。
もちろん現実では隣人全員と仲良くする必要なんてありません。
私だって隣の部屋から毎晩午前3時にドラムの練習が聞こえてきたら、感動の人間ドラマが始まる前に管理会社へ電話します。
そこは別問題です。
それでも、ほんの少し相手の事情を知るだけで関係が変わることはある。
そんな当たり前だけど忘れやすいことを、『隣人との付きき合い方』はやわらかく見せてくれる作品でした。
## 『隣人との付き合い方』漫画の感想まとめ
『隣人との付き合い方』を読んで特に良かったのは、智樹と詩織の距離がゆっくり縮まっていくところです。
最初は生活音をきっかけにギクシャクしていた2人。
そこから相手の事情を知り、話すようになり、少しずつ相手を気遣う存在になっていく。
大事件が次々起こるタイプの漫画ではなく、人間関係の変化を楽しむ作品という印象でした。
「隣人」という近いようで遠い存在をテーマにしているからこそ、ちょっとした優しさが効いてきます。
読んだあとには、
「隣の人と会ったら、とりあえず挨拶くらいしておくか」
という気分になるかもしれません。
まあ実際に廊下で会ったら、
「あ、どうも……」
で終わる可能性は高いですが。
それくらいがちょうどいい。
人間関係も隣人関係も、距離感が大事です。
そんなことを笑いながら少し考えさせてくれるのが、『隣人との付き合い方』という漫画でした。
